糖尿病でも外食したい——チェーン店別メニューの選び方ガイド
外食を完全にやめるのは現実的じゃない。仕事の付き合い、家族との食事、一人でサッと済ませたい日。糖尿病だからといって、外食を禁止されたわけではない。問題は「何を選ぶか」だ。
この記事では、全国どこにでもあるチェーン店で、血糖値を上げにくいメニューをどう選ぶか、具体的に解説する。完璧を目指す必要はない。普通に頼むより少しマシな選択ができれば、それでいい。
外食で血糖値を上げにくくする基本ルール
個別のチェーン店を見る前に、どこでも使える基本ルールを押さえておく。
ご飯・麺・パンの量を減らす
外食で血糖値が上がる最大の原因は、主食の量が多いことだ。牛丼の並盛りで糖質約90g、ラーメン1杯で糖質60〜80g。これを普通に食べれば、食後血糖値は200mg/dLを超えてもおかしくない。
多くのチェーン店では「ご飯少なめ」「麺少なめ」が無料で頼める。それだけで糖質を20〜30g減らせる。恥ずかしがらずに言う習慣をつけたい。最近はタッチパネルで注文できる店も多いので、口頭で言いにくければ画面で選べばいい。
野菜・たんぱく質を先に食べる
サラダや肉・魚を先に食べて、主食を後にすると、血糖値の上昇が緩やかになる。これは「食べ順」と呼ばれる方法で、同じ量を食べても食後血糖値のピークが下がることが確認されている。ファミレスや定食屋なら意識しやすいが、丼物だと難しい。丼の場合は、味噌汁やサラダをセットでつけて、先に食べ切ってから丼に手をつけるといい。
飲み物で糖質を足さない
せっかく食事を工夫しても、コーラやジュースを飲んだら意味がない。水、お茶、ブラックコーヒー、無糖の炭酸水を選ぶ。ドリンクバーがあっても、甘い飲み物は避ける。オレンジジュース1杯で糖質25g、コーラ1杯で糖質30g以上。これはおにぎり1個分に相当する。
ファミレス——実は選択肢が多い
ガスト、サイゼリヤ、デニーズ、ジョナサンなどのファミレスは、糖尿病患者にとって意外と使いやすい。メニューの幅が広く、主食抜きでも食事が成立するからだ。
おすすめの頼み方
ステーキやハンバーグなどの肉料理を単品で頼み、ライスをサラダに変更する。多くのファミレスでは、セットのライスをサラダやスープに変更できる。変更料金がかかる場合もあるが、50〜100円程度だ。
サイゼリヤなら、若鶏のディアボラ風(糖質約10g)、リブステーキ(糖質約5g)、辛味チキン(糖質約8g)あたりが糖質控えめ。小エビのサラダやグリーンサラダを一緒に頼めば、野菜も摂れる。ミラノ風ドリアは安くて人気だが、糖質は約50gと高めなので避けた方がいい。
ガストなら、チーズINハンバーグをライス抜きで。サラダとスープをセットにすれば、ボリュームも十分だ。から揚げ単品とサラダという組み合わせも使える。デニーズは和食メニューが充実しているので、焼き魚定食でご飯を半分残す、という方法もある。
避けた方がいいメニュー
パスタ、ピザ、ドリアは糖質が高い。オムライスやカレーライスも同様だ。どうしてもパスタを食べたいなら、ランチセットではなく単品の小さいサイズを選び、前菜にサラダをつける。パンの食べ放題やライスおかわり無料のサービスには手を出さない。
牛丼チェーン——ご飯の量がカギ
吉野家、すき家、松屋などの牛丼チェーンは、ご飯の量をどうするかで血糖値への影響が大きく変わる。
ご飯を減らす方法
すき家には「ライト」というメニューがあり、ご飯の代わりに豆腐が入っている。これだけで糖質が半分以下になる。牛丼ライトなら糖質約20g、普通の牛丼並盛りは糖質約90gだから、差は歴然だ。吉野家でも「小盛り」を頼める。松屋は「ご飯少なめ」で注文すると、少し減らしてくれる。
もっと糖質を抑えたいなら、「牛皿」や「牛小鉢」のような、ご飯なしの単品メニューを頼んで、サラダや味噌汁と組み合わせる方法もある。牛皿をおかずにして、ご飯は食べないという選択だ。
定食メニューという選択肢
牛丼だけでなく、定食メニューがあるチェーンも多い。鯖の塩焼き定食、豚の生姜焼き定食など、おかずがメインの定食を選んで、ご飯を残すか少なめで頼む。丼より定食の方が、食べる順番を意識しやすいという利点もある。味噌汁を先に飲む、サラダを先に食べる、という流れを作りやすい。
ラーメン——正直、難易度は高い
ラーメンは糖尿病患者にとって難しいメニューだ。麺自体の糖質が高く、スープも塩分が多い。それでも食べたい日はある。
麺を減らす・変える
「麺少なめ」を頼むのが基本だ。一風堂、幸楽苑、日高屋など多くのチェーンで対応してくれる。減らした分、チャーシューや煮卵など、たんぱく質を追加するのも手だ。チャーシュー麺の麺少なめ、という頼み方をすれば、糖質を減らしつつ満足感を保てる。
糖質カット麺を提供している店舗もある。幸楽苑では「糖質カット麺」に変更できるメニューがあり、糖質が約半分になる。糖質カット麺は食感が通常の麺と少し違うが、慣れれば気にならないという人も多い。
つけ麺より普通のラーメン
つけ麺は麺の量が多い傾向がある。特盛・大盛りを避けて、普通盛りの醤油ラーメンや塩ラーメンを選ぶ方が糖質は抑えられる。濃厚豚骨やつけ麺の特盛りは、糖質100gを超えることもある。
サイドメニューの活用
餃子やチャーシュー皿を先に食べてから麺を食べると、血糖値の急上昇を抑えられる。ただし、チャーハンやライスを一緒に頼むのは避けたい。ラーメン+チャーハンの組み合わせは、糖質150g超えもあり得る。
ハンバーガー——バンズを半分に
マクドナルド、モスバーガー、フレッシュネスバーガーなどのハンバーガーチェーンも、工夫次第で選べる。
バンズを減らす
一部の店舗では、バンズを半分にしてレタスで巻く「低糖質バーガー」のようなメニューがある。モスバーガーの「菜摘(なつみ)」シリーズは、バンズの代わりにレタスで挟んでおり、糖質が大幅にカットされている。モス野菜オーロラソース仕立ての菜摘なら糖質約5g。普通のモスバーガーは糖質約30gなので、大きな差だ。
マクドナルドでは、ナゲットやグリルチキンなどのサイドメニューを単品で頼み、サラダと組み合わせる方法がある。ハンバーガーを1個だけ頼んで、ポテトをサラダに変える。セットのドリンクは無糖のアイスティーかコーヒーにする。
避けるべきメニュー
ビッグサイズのバーガー、ポテトのLサイズ、シェイクは糖質が非常に高い。ダブルチーズバーガー単品でも糖質は30g程度あるが、シェイクMサイズを足すとさらに60g以上追加される。ポテトLサイズは糖質約60g。セットで普通に頼むと、1食で糖質150gを超えることもある。
回転寿司——意外と難しい
寿司は健康的なイメージがあるが、糖尿病にとっては意外と難しいメニューだ。シャリ(酢飯)の糖質が積み重なるからだ。
食べる皿数を決める
寿司1貫のシャリで糖質約7g。2貫で1皿なので、1皿あたり約14g。5皿食べれば糖質70gになる。「今日は5皿まで」と決めてから入店すると、食べすぎを防げる。回転寿司は目の前を流れてくるので、つい手が伸びてしまう。カウンターではなくボックス席を選び、タッチパネルで注文する方が、余計に取らずに済む。
刺身や汁物を活用
スシロー、くら寿司、はま寿司などでは、刺身単品や茶碗蒸し、あおさの味噌汁など、寿司以外のメニューも充実している。刺身でたんぱく質を摂り、茶碗蒸しで満足感を出し、寿司は3〜4皿に抑える、という組み立て方ができる。枝豆やサラダもあるので、先に食べてから寿司に移ると血糖値の上がり方が緩やかになる。
シャリ少なめ
店舗によっては「シャリ少なめ」や「シャリ半分」を頼める場合がある。タッチパネルにオプションがあるか確認してみてほしい。くら寿司では「シャリプチ」というシャリ小さめのオプションがある。
うどん・そば——そばの方がまし
丸亀製麺、はなまるうどんなどのうどんチェーン、富士そばなどのそばチェーンは、麺がメインなので糖質は避けられない。ただし、選び方で差は出る。
うどんよりそば
血糖値の上がりやすさを示すGI値で見ると、うどんは85、そばは59と、そばの方が低い。同じ量を食べるなら、そばを選ぶ方が血糖値の急上昇を抑えやすい。そばには食物繊維やルチンといった成分も含まれているため、うどんより血糖値に優しいとされる。
トッピングで調整
かき揚げや天ぷらは衣の糖質が高いので避ける。代わりに、温泉卵、わかめ、山菜、きつねの油揚げなどを選ぶといい。野菜かき揚げよりも、えび天1本の方が糖質は低いことが多い。とろろそばは食物繊維が摂れるのでおすすめだ。
麺を減らす
丸亀製麺では「麺少なめ」が可能だ。並盛りを頼んで、麺を減らしてもらい、天ぷらやおにぎりは頼まない。これだけで、普通に食べるより糖質は大幅に減る。おにぎり1個で糖質35g追加されることを考えると、麺だけで済ませた方がいい。
カフェチェーン——意外な落とし穴
スターバックス、ドトール、タリーズなどのカフェも、選び方で糖質量が大きく変わる。
飲み物の選択
フラペチーノやキャラメルマキアートなどの甘いドリンクは、糖質50gを超えることもある。ブラックコーヒー、カフェラテ(無糖)、紅茶(無糖)を選ぶ。どうしても甘いものが欲しいなら、シロップ少なめやノンシロップでオーダーできる。
フードの選択
サンドイッチやパンは糖質が高い。スターバックスならプロテインボックス、ドトールならスモークチキンとサラダのセットなど、たんぱく質中心のメニューを選ぶ。ケーキやマフィンは糖質40〜50gあるので、どうしても食べるなら半分にして、残りは持ち帰るか誰かとシェアする。
どうしても食べたいときの心構え
毎回完璧に選べるわけがない。ラーメンを普通に食べたい日もある。寿司を10皿食べたい日もある。そういうときは、食べていい。糖尿病管理は長期戦だから、1食の失敗で人生が終わるわけじゃない。
大事なのは、普段の8割くらいの食事で血糖値を意識しておくことだ。そうすれば、残りの2割で多少羽目を外しても、HbA1cへの影響は限定的になる。「今日は特別」と決めて食べるのと、何も考えずに毎日食べるのとでは、結果が違う。特別な日は楽しんで、翌日から普段の食事に戻せばいい。
まとめ——選ぶ力が自由を作る
外食を恐れる必要はない。ただし、何も考えずに普通に頼むと、糖質は確実に多くなる。「ご飯少なめ」「サラダ追加」「飲み物は無糖」。この3つを意識するだけで、外食の自由度は大きく上がる。
チェーン店は、どこの店舗でも同じメニューが頼めるという強みがある。自分に合った頼み方を1回覚えてしまえば、全国どこへ行っても使える。糖尿病だから外食できない、ではなく、糖尿病でも外食を楽しめる。そのための知識を持っておきたい。