糖尿病でも間食したい——血糖値を上げにくいおやつの選び方
糖尿病になると「間食はダメ」と言われることが多い。でも、3食の間に何も食べずに過ごすのは、正直つらい。仕事中に小腹が空く、15時頃に甘いものが欲しくなる、夜中にどうしても何か食べたくなる——そういう場面は誰にでもある。
結論から言うと、糖尿病でも間食はできる。ただし、「何を」「どれくらい」「いつ」食べるかが重要だ。この記事では、血糖値を急上昇させにくいおやつの選び方と、間食との上手な付き合い方を具体的に解説する。
なぜ間食が問題になるのか
まず、間食がなぜ糖尿病患者にとって問題なのかを整理しておこう。
血糖値が下がりきらないうちに次の糖質が入る
食事をすると血糖値が上がり、2〜3時間かけて下がっていく。この「下がりきる前」に間食で糖質を摂ると、血糖値が高い状態が長く続くことになる。これが繰り返されると、HbA1cは上がっていく。
特に問題なのは、食後2時間以内の間食だ。昼食後すぐにお菓子を食べる、夕食前に菓子パンを食べる——こうした習慣があると、血糖値はずっと高いままになる。
間食で摂る糖質は「余分」になりやすい
3食の食事で必要な栄養とカロリーは基本的に足りている。間食で摂るものは、多くの場合「余分」だ。その余分なカロリーが脂肪として蓄積され、体重が増え、インスリン抵抗性が上がり、血糖コントロールが悪化する——という悪循環に入る。
間食していいおやつ、避けるべきおやつ
では、具体的に何を食べればいいのか。糖尿病患者の間食選びで重要なのは「糖質量」と「血糖値の上がりやすさ(GI値)」だ。
おすすめのおやつ(糖質10g以下)
ナッツ類——アーモンド、くるみ、カシューナッツ、マカダミアナッツなど。糖質が少なく、良質な脂質とタンパク質が摂れる。アーモンド10粒で糖質約1g。満足感もある。ただし、カロリーは高いので1日20〜30g程度に。塩分が気になる人は無塩タイプを選ぼう。くるみはオメガ3脂肪酸が豊富で、血管の健康にも良いとされている。
チーズ——プロセスチーズ、クリームチーズ、カマンベールなど。6Pチーズ1個で糖質約0.2g。タンパク質とカルシウムも摂れる。コンビニで手軽に買えるのも良い。さけるチーズ、ベビーチーズなども優秀だ。
ゆで卵——1個で糖質約0.2g。完全栄養食と言われるほど栄養バランスが良い。コンビニの味付け卵でもいい。2個食べても糖質は1g未満だ。タンパク質も6〜7g摂れる。
無糖ヨーグルト——100gで糖質約5g。乳酸菌で腸内環境も整う。甘みが欲しければ、ラカントやパルスイートなどの人工甘味料を少量加える。フルーツ入りや加糖タイプは糖質が多いので避ける。オイコスやパルテノなどのギリシャヨーグルトはタンパク質が多くておすすめ。
高カカオチョコレート——カカオ70%以上のダークチョコレート。1〜2片(10g程度)で糖質約2〜3g。普通のミルクチョコレートより糖質が少なく、ポリフェノールも摂れる。ただし食べすぎに注意。明治や森永から高カカオチョコが出ている。
あたりめ、ビーフジャーキー——タンパク質中心で糖質はほぼゼロ。噛み応えがあるので満足感も得られる。よく噛むことで満腹中枢も刺激される。塩分は多めなので、高血圧がある人は量を控えめに。
野菜スティック——きゅうり、セロリ、大根、にんじんなど。ほぼ糖質ゼロで食物繊維が摂れる。マヨネーズや味噌をつけて食べれば満足感も出る。にんじんは他の野菜より糖質が多めだが、スティック数本程度なら問題ない。
まあまあOKなおやつ(糖質10〜20g)
果物(少量)——りんご1/4個、みかん1個、いちご5粒程度なら糖質10g前後。ビタミンや食物繊維も摂れる。ただし、バナナ1本は糖質約20g、ぶどう1房は糖質約30gと多いので要注意。果物を食べるなら朝食後か昼食後がおすすめ。夜は避けた方がいい。
低糖質スイーツ——最近はコンビニでも「糖質オフ」「ロカボ」と書かれたスイーツが増えている。シャトレーゼ、無印良品、ローソンなどが力を入れている。糖質10g以下のプリン、シュークリーム、ケーキなどがある。パッケージの糖質量を必ず確認しよう。
ソイジョイ、プロテインバー——種類によるが、糖質10g前後のものが多い。タンパク質も摂れるので、小腹が空いたときには悪くない選択肢。ただし「プロテイン」と書いてあっても糖質が多い商品もあるので、必ず成分表示を確認。
避けるべきおやつ(糖質20g以上)
菓子パン——メロンパン1個で糖質約50g、あんぱん1個で糖質約45g、クリームパン1個で糖質約35g。これは血糖値の爆弾だ。食パン1枚(6枚切り)で糖質約27gなので、菓子パンがいかに糖質が多いか分かるだろう。
ケーキ、ドーナツ——ショートケーキ1切れで糖質約30g、ドーナツ1個で糖質約25〜35g。特別な日以外は避けた方がいい。どうしても食べたいなら、小さいサイズを選び、食事の糖質を減らしてバランスを取る。
せんべい、おかき——「和菓子は洋菓子より健康的」と思いがちだが、せんべいは糖質の塊だ。2〜3枚で糖質20g以上になることも。米菓は血糖値を急上昇させやすい。GI値も高い。
スナック菓子——ポテトチップス1袋(60g)で糖質約30g。じゃがりこ1個で糖質約35g。カロリーも高く、一度開けると止まらないのも問題だ。
アイスクリーム——バニラアイス1個(100ml)で糖質約20〜25g。夏場は食べたくなるが、糖質は多い。どうしても食べたいなら、SUNAOやグリコのSMTなど低糖質アイスを選ぼう。ガリガリ君は1本糖質約18gで、アイスの中ではまだマシな方。
清涼飲料水——コーラ500mlで糖質約55g、オレンジジュース500mlで糖質約50g、スポーツドリンク500mlで糖質約30g。「飲み物は別」と思いがちだが、液体の糖質は吸収が早く、血糖値を急上昇させる。これは間食というより「糖質爆弾を飲んでいる」と認識した方がいい。
間食のタイミング
何を食べるかと同じくらい、いつ食べるかも重要だ。
食後2時間以上空ける
食事で上がった血糖値が下がりきるまで、最低2時間は待つ。昼食が12時なら、間食は14時以降。これを守るだけで、血糖値が高い時間を短くできる。
15時〜16時がベスト
「3時のおやつ」は理にかなっている。昼食から十分に時間が空いており、夕食までにまた血糖値が下がる時間がある。この時間帯に適量の間食を摂るのは、むしろ推奨される場合もある。
逆に、夕食後の間食は避けた方がいい。21時、22時にお菓子を食べると、寝ている間も血糖値が高い状態が続く。睡眠の質にも影響する。
低血糖予防としての間食
インスリンやSU薬を使っている人は、低血糖予防のために間食が必要な場合がある。食事と食事の間が長く空くとき、運動をする前などに、あえて間食を摂ることで低血糖を防ぐ。この場合は主治医や栄養士と相談して、何をどれくらい食べるか決めておこう。
間食の量——1日の糖質量で考える
間食で摂っていい糖質量は、1日の糖質摂取量から逆算する。
糖尿病患者の1日の糖質量は、一般的に130〜180g程度が目安とされている(個人差あり)。これを3食で割ると、1食あたり40〜60g。間食に回せるのは、せいぜい10〜20gだ。
つまり、間食は「糖質10g以下」を目安にするのが現実的。ナッツ一握り、チーズ2〜3個、高カカオチョコ2片程度。これくらいなら血糖値への影響は小さい。
「物足りない」と思うかもしれないが、間食はあくまで「つなぎ」だ。お腹いっぱいになるまで食べるものではない。小腹を満たす程度で十分。
間食をやめられない人へ
「頭では分かっているけど、やめられない」という人も多いだろう。間食がやめられない原因と対策を考えてみよう。
血糖値の乱高下が空腹感を生む
糖質の多い食事をすると、血糖値が急上昇し、その後急降下する。この急降下のとき、体は「エネルギーが足りない」と勘違いして空腹感を出す。実際にはエネルギーは足りているのに、だ。
この悪循環を断つには、食事の糖質量を減らすことだ。白米を減らし、野菜とタンパク質を増やす。そうすると血糖値の変動が穏やかになり、食間の空腹感も減る。
習慣になっている
「15時になったらコーヒーとお菓子」「テレビを見ながらスナック」——こうした習慣が染みついていると、お腹が空いていなくても食べてしまう。
習慣を変えるには、「代わりの行動」を用意するのが効果的だ。お菓子の代わりにナッツを用意しておく、テレビを見ながら手を動かす(編み物、ストレッチなど)、15時のコーヒータイムを散歩に変える——など。
ストレスで食べてしまう
ストレスを感じると甘いものが欲しくなるのは、脳の仕組み上、自然なことだ。糖質を摂ると一時的にセロトニン(幸せホルモン)が出るからだ。でも、それは一時的。30分もすれば元に戻り、また甘いものが欲しくなる。
ストレス解消を食べ物以外で行う方法を見つけることが大事だ。散歩、入浴、音楽、深呼吸、誰かと話す——何でもいい。甘いもの以外で気分転換できる手段を持っておこう。
コンビニで買える低糖質おやつ
実際に買いやすい商品を挙げておこう。
ローソン
- ブランパン、低糖質パンシリーズ
- SUNAOアイス
- ロカボナッツ
- サラダチキン各種
セブンイレブン
- 7プレミアムの素焼きアーモンド
- 味付き半熟ゆでたまご
- 6Pチーズ
- 寒天ゼリー(0kcal)
ファミリーマート
- RIZAPコラボの低糖質スイーツ
- バタピー、素焼きミックスナッツ
- ギリシャヨーグルト
どの店舗でも、ナッツ、チーズ、ゆで卵、無糖ヨーグルトは手に入る。困ったらこの4つを探そう。
まとめ
糖尿病でも間食はできる。ただし、選び方と量が大事だ。
- 糖質10g以下を目安に(ナッツ、チーズ、ゆで卵、高カカオチョコなど)
- 食後2時間以上空けてから
- 15〜16時がベストタイミング
- 夕食後の間食は避ける
- 菓子パン、スナック菓子、清涼飲料水は避ける
間食を完全にやめる必要はない。むしろ、「食べてもいいもの」を知っていれば、ストレスなく血糖コントロールを続けられる。我慢ばかりでは長続きしない。上手に間食を取り入れながら、無理のない糖尿病管理を目指そう。